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胡弓の種類 |
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胡弓は、日本独特の擦弦楽器(さつげんがっき=弓で絃を擦って音を出す楽器)です。日本の胡弓以外に胡弓という名称を持つ楽器はありません。したがって中国に胡弓はありません。また胡弓を「和胡弓」と呼ぶ人もいますが、胡弓は日本にしか存在しない楽器なので、正しい呼称とはいえません。 その来歴などについては「胡弓小事典」をごらんください。 胡弓本体の形状は三味線に非常に似ており、中国の二胡や京胡、韓国の奚琴などとはかなり異なった形状をしています。本土に胡弓があらわれたのは江戸時代前半で、以来四百年近くの間、胡弓音楽の進展、伝播と共にいくつかのヴァリエーションを生じました。また琉球ではそれ以前に現われた可能性があります。それらには次のものがあります。 |
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ここでは、3.の一般 的な三本絃の胡弓について解説します。他の胡弓については「胡弓小事典」をご参照ください。なお、おなじ三本絃の胡弓でも、細かな造作にはジャンルや流派、地域により微妙な違いがありますが、大きな差はありません。ただ民俗芸能で使用する弓は大きく異なっています。なお、胡弓の他に我が国で行われた擦絃楽器として、アイヌのウンマトンコリ、江戸時代から明治中頃にかけて流行した明清楽の胡琴、提琴、携琴、また天理教の儀礼音楽に使用された初瀬琴(胡弓琴)などがあります。などがあります。 | ||||||||||
胡弓を使用する音楽 |
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一般 的な三本絃の胡弓を使用する音楽には、主に次のものがあります。 | ||||||||||
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ただし、胡弓を主役とするものは1.の胡弓楽のみです。同じく1.の地歌三味線楽、箏曲における合奏でも、胡弓は脇役として活躍します。1.を総じて「三曲」と呼び、胡弓音楽の主体であり、芸術的、技巧的に高められており、沢山の曲があります。古く17世紀の曲も伝えられていますし、現代の作品も少なからず作られています。いっぽう2.において、胡弓はどちらかと言えば添えものとして、主に雰囲気を出すため特定の場面 で時々使用されるだけであり、曲もあまり多くありません。また3.の民俗芸能では、地域的には限られてはいますが、全国各地で門付、人形芝居、祭りなどに使用されています。民謡に加わることはごく一部の曲を除ききわめて少ないようです。また胡弓が主役になるわけではありません。またこれらの他にも胡弓を儀礼音楽に使用する宗教もあります。 また1.2.3.はそれぞれ専門が別 であり、例えば民謡の胡弓奏者が胡弓楽を演奏することはありませんし、逆もまた同じです。つまりギターといってもクラシックやフォークなど専門が異なるのと同じです。 ここでは私の専門である1.の名古屋系胡弓楽、地歌三味線楽、箏曲で使用する胡弓を標準として解説しています。 |
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