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有花梗種群 エンレイソウ亜属 subgenus Trillium |
植 物 名 |
分 布
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解 説
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エンレイソウ Trillium apetalon |
日本(北海道、本州、九州) | 花弁(内花被)がなく、蕚(外花被)だけだが、紫褐色なのでそれなりに美しい。緑色のものもある。ラテン名は「花弁のない」という意味。また実はふつう緑色だが紫黒色に熟す変種もあり「クロミノエンレイソウ」という。 |
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エンレイソウ 黄斑入葉 Trillium apetalon variegated Leaf |
黄斑が大きく入る葉が美しい。斑は安定していて毎年現われる。 | |
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ミヤマエンレイソウ Trillium tschonoskii var.tschonoskii |
日本、朝鮮半島、サハリン南部 |
中国で「延齢草」と言うのはこの植物。別
名シロバナエンレイソウ。中国西南部の山岳地帯からヒマラヤにかけて、変種var.
himalaicumが分布する。小種名は須川長之助にちなむ。中国では薬草として利用されている。
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コジマエンレイソウ Trillium smallii
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北海道西部、サハリン南部 | エンレイソウと先史時代に絶滅した古オオバナノエンレイソウとの雑種起源種といわれる。小種名は植物学者Smallにちなむ。花弁のないエンレイソウの血を引くためか、この写 真のように三枚の花弁がきれいに揃って咲くことは少なく、未発達で縮れて不揃いだったり、まったく花弁がない状態で咲くこともある。 |
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オオバナノエンレイソウ Trillium kamtschatcensis |
本州北部、北海道、千島、サハリン、カムチャッカ半島南部、ロシア沿海州、中国東北地区 | 日本産トリリウムの中ではもっとも花が大きく美しい。北海道には多くの群落が見られる。小種名は「カムチャッカの」という意味。 |
3Dコンピュータグラフィックによるオオバナノエンレイソウ
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トリリウム・グランディフロルム Trillium glandiflorum
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米国・五大湖以南 | アメリカ東部のトリリウムを代表する種で、五大湖周辺を中心に広く分布している。白く大きな花弁が美しい。小種名は「大きな花の」の意味。 |
トリリウム・グランデイフロルム・変種パルウム Trillium grandiflorum f. parvum |
基本種よりもやや小型だが、花の大きさはあまり変わらない。 | ||
トリリウム・グランディフロルム・変種ポリメルム Trillium grandiflorum f. polymerum
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八重咲きのクチナシを思わせる美しい花。 | ||
トリリウム・スルカトゥム Trillium slukatum
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米国・ウエストヴァ−ジニア州南部、ヴァ−ジニア州南西部、ノースカロライナ州北部、ケンタッキー州東部、ジョージア州カンバーランド高原、ジョージア州北西部、アラバマ州北東部 |
日本のオオバナノエンレイソウに近縁な種類のひとつ。花は大きく、濃い赤で美しい。白や黄色の花もある。
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トリリウム・フレクシペス Trillium flexipes |
米国・中東部五大湖以南、東海岸地方の一部 | 中型のトリリウム。この個体は花弁が丸みを帯び、端正で美しい花形をしている。この種は花が葉の下に下垂して咲く性質を持つ個体も多い。 | |
トリリウム・フレクシペス 緑筋入花 Trillium flexipes |
花弁に緑色の筋が入る品種。この性質は安定していて、毎年現れる。 | ||
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トリリウム・ルゲリイ Trillium rugelii
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米国・五大湖周辺、東海岸地方北部 | アメリカの有花梗種には、花が葉の下に隠れる種がいくつかあって、上から見ても咲いているのが分からない。しかし美しい花で、性質も強く、根茎でよく栄養繁殖する。 |
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やや細弁だが縁が淡いピンクに染まる美しい配色の品種 | ||
トリリウム交配種 淡黄色花 Trillium hyb. pale yellow form |
花梗のあるトリリウムに黄色は大変珍しい。この花色は薄いが、T.スルカトゥムには濃い黄色のものもある。 | ||
トリリウム交配種 覆輪花 Trillium hyb. bicolored form
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象牙色の地にふちが淡紅色になり、葯がわずかに濃い象牙色で、非常に上品で繊細な美しさを持っている。また子房が濃い紫褐色でアクセントとなっている。とても良い品種。 | ||
トリリウム・エレクトゥム Trillium erectum |
米国・五大湖以東 | 米国東部各地に見られる種。多く赤〜赤褐色だが、白花もまれに見られ、また自生地ではT.ケルヌウムなどとの間で自然交雑がおきている。 | |
トリリウム・ウァセイイ Trillium vaseyi |
米国・ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、テネシー州東部、ジョージア州北部、アラバマ州北東部 | もっとも大型のトリリウムで、良く育つと高さ80cmを超すこともある。花も大きく芳香がある。葉の下で下向きに咲くので目立たないのが惜しい。 | |
無花梗種群 フィルランセルム亜属 subgenus Phyllantherum |
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トリリウム・ルテウム Trillium luteum
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米国・ノースカロライナ州、ジョージア州、ケンタッキー州、テネシー州 | 無花梗のトリリウムには黄色花もいくつかあるが、この種は黄色だけ。ラテン名も「黄色の」の意味。花には柑橘香があり、葉には模様が入り美しい。丈夫で育てやすい。アパラチア山脈を中心に分布する。 | |
トリリウム・デクムベンス Trillium decumbens |
米国・アラバマ州南部、フロリダ州北部、ジョージア州南西部、 | 茎が地上で倒れたように匍匐して、地面 すれすれに葉を展開する独特のトリリウム。花弁は長く直立して、まるで皿の上で燃えあがる灯火のような美しさがある。 | |
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トリリウム・クネアトゥム
Trillium cueatum |
米国・ケンタッキー州南部、テネシー州(アパラチア山脈西部)、ミシシッピ州南西部、ノースカロライナ州南部西部の山、アラバマ州東部、 | 北米東海岸地方の無花梗種類を代表する中型の種で、欧米でもよく栽培されている。赤みがかったチョコレート色が美しい。 |
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トリリウム・クネアトゥム 黄色花 Trillium cueatum yellow form |
中型の無花梗種で、普通 は赤褐色の花を咲かせるが、これは緑がかった黄色の花。 | |
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トリリウム・クネアトゥム 復色花 Trillium cueatum |
花弁が長く、弁先が緑、弁元が赤褐色の渋くも味のある色合いが美しい個体。 | |
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トリリウム・クネアトゥム 黄緑地緑絞花 Trillium cueatum |
黄緑色と緑の絞りに弁元が赤褐色の複雑な配色の個体。 | |
トリリウム・レクルウァトゥム Trillium recurvatum |
米国東部諸州 | 根茎が長く地中を這い分岐する特徴を持つ。黄色花の品種も知られている。抱え込むような花弁と平開する蕚がユニークなトリリウム。 | |
トリリウム・ウンデルウォオディイ Trillium underwoodii |
米国・アラバマ州南部、フロリダ州北部、ジョージア州南西部 |
しっかり直立し大きな花を咲かせるトリリウム。なかなか見ごたえがある。「underwoodii」は植物学者アンダーウッド博士の名を記念したもの。 |
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ツクバネソウ類 | |||
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ツクバネソウ Paris tetraphylla |
本州、四国、北海道、サハリン南部 | 日本特産の小型のパリス。 |
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パリス・ポリフィルラ Paris polyphylla |
チベット南部、雲南省、四川省、貴州省、広西省、広東省、湖南省、湖北省、甘粛省、台湾 |
ツクバネソウよりもずっと大形でガッシリした草姿。花弁は細く紐状。古く「蚤休」と呼び「神農本草経」や「本草綱目」などにも記載される重要な薬草。中国名「多葉重楼」「七葉一枝花」。非常に変種が多い。 |
エンレイソウ類、ツクバネソウ類
エンレイソウ属は北アメリカと東アジアに四十数種が分布する、三枚の葉、三枚の蕚(外花被)、三枚の花弁(内花被)、六本の雄蕊と、すべて3とその倍数で構成されている、たいへんシンプルで整った美を持つ植物です。花色は白、褐色、緑、黄、赤、ピンクなどがあり、特有の美しさがあります。東アジアの種はすべて花梗を持ちますが、北アメリカの種には花梗を持たない一群があります。ユリ科に含められていますが、ツクバネソウ属と共にエンレイソウ科として独立して扱われることもあります。「エンレイソウ」は「延齢草」の意味で、中国では今も薬草として使われていますが、なぜか日本では毒草とされています。
ツクバネソウ属は東アジアを中心にヨーロッパまで二十数種分布する、エンレイソウ属に近縁の植物で、花が衝羽根に似ているところからこの名があります。我が国には三種分布しますが、中国には二十種ほどあり、「重楼」と呼ばれています。
日本ではエンレイソウ類の研究が進んでいますが、中国ではツクバネソウ類が重要な薬草であることもあり、こちらの方が研究されています。
エンレイソウ類、ツクバネソウ類共に夏緑林の林床に生え、涼しい地方に産するものが多いですが、一部はフロリダ半島や中国南部の亜熱帯にも分布しています。
植物名の表記について
◎明治以降の外来種は原則としてラテン名を優先してあります。
◎ラテン名のカナ表記については、ラテン語の発音に近いと思われる表記に統一しています。
例・Jeffersonia=イェッフェルソニア Cyclamen=キクラメン
japonica=イァポニカ virginica=ウィルギニカ
◎中国産の植物については、なるべく中国名も並記するようつとめています。