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第6号

2004年3月1日発行

 今号では、一昨年の秋から昨年の夏にかけて行われた演奏会について、門下生のみなさんから寄せられた原稿を紹介します。


【原一男 コンサート(岡谷・カノラホール)】

宮城道雄作曲「春の海」 箏・瀧口舞衣子先生

「春の海」の思い出によせて

 平成十四年十月六日、岡谷カノラホールにて『原一男コンサート』開催、岡谷教室二十年という節目の演奏会です。

 ワイフも出演ということで、当日朝から心配気味でしたが嫁と出かけることになりました。ワイフは友人と洋裁をしていた頃、そこの家主さんが稽古している三味線を聴くにつけ自分も手がけてみたいと常に念頭にあったようで、昭和五十七年二月に岡谷教室にお世話になったのです。この間の原先生の精力的な指導と、教室のみなさんの支えによって今日まで続けてこられたのではないかと思います。

 さて、当日のカノラホールは森進一歌謡ショーとかさなり、待合所は騒然たるものでした。その人波をかきわけて小ホールに入りました。舞台上には金屏風と赤い敷物で落ち着いた空間。プログラムに目を通 しながら「地歌とは・・・」と邦楽にうとい者どうし会話をしているうちに、百五十席の観客席も、九割近くの入りとなりました。ソフトな声で好感のもてるアナウンスにより「秋風の辞」で開演となりました。

 身内の出演となると、聴くことより見る方にかたむきます。姿勢は、手の動きは、曲の流れをみだしていないか・・・。諸先生方が賛助出演されているなか、つたないながらも自分が出演できた喜びをかみしめたのではないかと思います。我が家は音楽センスのない家族ですが、嫁は刺激を受けたようで聴き入っていました。

 「春の海」では、原先生が胡弓で出演されました。この曲には父との思い出があります。太平洋戦争の直前の時代に戻りますが、父は当時小学生の私を、「静かにできるのなら」という注文つきで下諏訪町の御田劇場(現在は取り壊されている)につれていってくれたのです。それが宮城道雄演奏会でした。箏の第一人者と知る由もなく聴いたのが「春の海」です。海の情景をあらわした旋律を当時理解できたのかどうかですが、なぜか宮城道雄の「春の海」が忘れられないものになりました。今回は原先生の胡弓で、思い出を新たに聴くことができました。

 今年から中学校の音楽の授業で三味線などの和楽器を学ぶことが必修となったと聞きますが、そのような機会にめぐまれて、日本古来の雅の世界を求める若者が増えるのではないでしょうか。教室のみなさんの一層の精進を念じております。

(岡谷市・林 忠男)


【原一男 胡弓・三絃リサイタル(紀尾井小ホール)】

リサイタル雑感

 十一月二十三日、東京・四ッ谷の紀尾井小ホールでのリサイタルを拝聴させていただきました。東京ということなので、東京にいる身内に話をしたら、そんな機会は滅多にないのでぜひにとのことで、三人でお伺いしました。

 私は開演と同時に独特の異次元空間へと誘い込まれ、二時間、ゆったりとした気持ちで楽しませていただきました。「八重衣」は、舞台の袖より妙齢の女性が薄いピンクの衣裳を身に装い、薄いピンクの羽衣を頭に軽くかぶり、布の両端を軽く持って舞台に登場し、日本舞踊でも踊るのではないかと思わせる演奏でした。

 同行の二人はと見れば、はじめは多少その場の空気に入り込めずに戸惑っていましたが、徐々に独特の世界空間に引き込まれたようで、最後まで魅入られていたようです。

 終演後、たまにはゆったりした気持ちでこういうものを拝聴するのもいいものだなあ、また機会があったら接してみたいなあ、といいながら、またいつもの生活へと戻っていきました。

(松本教室・小高 章)


 邦楽が好きで、殊に原一男先生の演奏会には欠かさず伺っております。 「高音が美しく、哀調を帯びた音色」と言い表される胡弓ですが、高音ばかりではないということを知りました。

 昨年秋、紀尾井小ホールのリサイタルで拝聴した胡弓の低音の何と温かい音でしょう! 熱い大きな掌に包まれ、お腹からじんわり温められました。

 五本の絃のうち低音部の二本の絃は、ガット(羊の腸)に銀線を巻きつけたものです。他の三本は元来の絹。棹は紅木。皮は猫。それら天然素材が組み合わさり、温かみのある音が生まれました。四オクターブという広音域。曲のジャンルを問わず演奏できるそうです。

 常日頃、日本古来の建築物の巧みさに感心しております。見目麗しく、機能的。しかも、人の人生より長い年数を生き続け、幾世代も後の我々を魅了します。

 邦楽器もしかり。

 職人様の本気の遊び心で手作りされた楽器は、新しい主に弾き込まれ磨かれ、名器となりました。 驚いたことに、それは原先生が考案されたオリジナルの楽器であるとか! 世界にただ一つの「五絃胡弓」というものです。我が家では、「原式」「かずお」「Kazzz(カズー)」などと呼ばせていただいております。

 博識な先生の自由な発想とこだわりを持って作られたのです。 稀少な胡弓音楽は国の宝。その普及伝承という偉業は、原先生のみぞなし得ます。国内外のファンが期待を寄せております。引き続き、さらなるご発展を遂げられますようお祈りいたします。

(埼玉県川口市・熊倉照男)


【あかつき会(日刊工業ホール)】

 先輩の方々とご一緒させていただき、無我夢中のうちに演奏が終わりました。緊張しているのか、いないのか、わからない状況でした。

 十年来恋し続けた胡弓にめぐり逢えて、「今こうしてここに居る」幸せと不思議さを感じ、幕が降りてから心臓がドキドキしたのを思い出します。 「もみじば」の練習は、私には苦しく難しく、不安を抱えての参加でした。未熟さを大いに歎きましたが、合奏の楽しさを味わうことができました。

 曲を理解し、原先生の様に美しく深い表現ができるように……夢が広がります。急がず、休まず、あせらず、はみ出さず、これからも精進して参りたいと心にそっと誓いました。

(新宿教室・浜野洋子)


【箏・地唄三弦発表会(松本音楽文化ホール・小)】

 原先生の先生でいらっしゃる山口雅將先生の門下生による発表会に、社中として出演し「鉄輪」を演奏しました。

 「鉄輪」は、歌の内容はおそろしかったりするのですが、なかなか迫力のある曲で勢いにまかせて弾いてしまうところもなきにしもあらずですが、三弦を弾いているうちにだんだんとノッてきます。弾きやすいといえば弾きやすいので、演奏が雑にならないよう気をつけなければなりません。

 先生の先生の会に出演ということで、かなり緊張しましたが、いい経験をさせていただきました。

(浅草教室・斉藤浩司)


【品川区三曲協会演奏会(きゅりあん小ホール)】

 東京・大井町にあるきゅりあんで開催された、品川区三曲協会の演奏会に社中として出演、「鉄輪」を演奏しました。この頃定番の曲ということで、逆に気を抜かないよう、集中を保つよう心がけました。

 打ち上げに連れていっていただいたお店には様々な種類の焼酎があり、原先生と飲みまくってしまいました・・・。

(浅草教室・斉藤浩司)


【邦楽学習グループ合同発表会(葛西区民館ホール)】

 三味線を習いはじめて二回目の発表会が終わりました。前回は緊張して早く自分の出番が終わればいいのにと思っていました。しかし、今回は練習不足も気にせず、まちがえても平然と演奏を続けられるくらいになり、演奏するのが楽しいと感じられるようになりました。会場の皆様の暖かい雰囲気のおかげだと思います。

 発表会では胡弓や箏と合奏ができ、まわりの音をききながら合わせていくことを学びました。三味線だけの時とはまたちがった曲の広がりを感じ、演奏しだいで印象がかわるのだなと思いました。

 まだまだ譜面通りに弾くことに精一杯ですが、先生や先輩方のように曲から情景がイメージできるように練習していきたいと思いを新たにした一日でした。これからもご指導よろしくお願いします。

(市川三味線サークル・山田千春)


【絃詩会・信州地区発表会(ホテルモンターニュ)】

 七月六日、松本市のホテルモンターニュにて、信州地区の発表会が行われました。

 去年より、あがらずに弾けたー。やっぱりあそこは、難しくて思うように手が動かないー。などなど、緊張感が解けた、たのしー懇親会のときに、聞くことができました。

 そして、皆さんお楽しみの第二部。今年の客演は、薩摩琵琶奏者の桜井亜木子さんでした。感情のこもった力強い語り、どこか懐かしい(私だけの感想ごめんなさい)心に響く琵琶の音。すばらしい演奏でしたね。

 さて、次回のゲストは? 先生、楽しみに待っています。

 最後に、今回、場所探しに苦労された、中央公民館の教室の皆様、ご苦労様でした。

(松本二子教室・宮下昌子)


【胡弓を聞く会(松本市F小学校)】

 一昨年十月、松本市F小学校において、原先生による「胡弓を聞く会」が開催されました。担任の先生と子どもたちから寄せられた感想の一編を紹介します。

こ弓はいい音     K・K

 さんかん日に、三年生だけで、こ弓をききました。わたしは、こ弓という楽きは知りませんでした。太こみたいな形だろうなぁと思っていました。原先生という方がこ弓をひいてくれました。こ弓は弓という物でひく、三味線の小さいような形でした。こ弓の音はとってもいい音でひびきがきれいでした。バイオリンみたいな音でした。ほんとうは、こ弓は、音を調せつする所が三本あるそうですが、原先生が五本にかえたそうです。でも日本でこ弓をひく人は、なんと四人か五人しかいないそうです。とてもびっくりしました。あと、こ弓の表面 の所は、なんと犬やねこの皮だそうです。でも、こ弓が聞けてとってもうれしかったです。

先生より(学年だよりから)

 胡弓は、日本で生まれ日本にしかない楽器だそうですが、現在、演奏者は、五〜六人しかいないということで、なかなか胡弓の音を聞くことができません。生演奏を聞くことができたわけですから、たいへん貴重な機会を得たわけです。

 胡弓の音色は哀調をおびた日本的な音色でした。三味線や琴とよく調和する音色でした。

 胡弓のつくりについても子供に質問をしながら楽しく説明してくれました。弓の弦は馬の尾で、糸は絹糸、胴の皮は猫の皮で出来ているということです。猫の皮は薄くていい音が出るんだそうです。 「ワンワン ニャオニャオ」という曲を子供たちに教え、演奏してくれましたが、ニャオニャオーの所は、本当の猫の鳴き声のようで、大喜びでした。

 原先生にはご多忙中、貴重な機会を与えていただき、ありがとうございました。


【編集後記】

 原先生のホームページに「門下生の部屋」が開設され、日々新しい形での門下生どうしの交流がなされています。ホームページ上でも、お会いいたしましょう。

(斉藤)

 

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